ナトリウム石鹸ではなく「カリ石鹸」
ここまでは、アレイに使われている油、つまり脂肪酸の特徴について見てきました。
しかし、石鹸の使い心地を決めるのは、油だけではありません。
油脂を石鹸に変えるためには、もうひとつ「アルカリ」が必要です。
◎一般的な固形石鹸は、水酸化ナトリウムでつくられる「ナトリウム石鹸」です。
ナトリウム石鹸は硬く固まりやすく、形を保ちやすいという特徴があります。
◎一方、アレイは水酸化カリウムでつくられる「カリ石鹸」です。
カリ石鹸は、ナトリウム石鹸のように硬く固まらず、やわらかいペースト状になります。
この違いは、使い心地にも関わります。
カリ石鹸は水になじみやすく、すすぎやすい性質を持っています。
肌の上でやわらかく広がり、洗い流すときにも水と一緒に落ちやすいため、洗浄成分の残留感が出にくい石鹸です。
アレイの穏やかな洗い上がりは、二つの要素から生まれています。
ひとつは、オレイン酸とパルミトレイン酸を含むマカダミアナッツオイルの脂肪酸組成。
もうひとつは、水に溶けやすく、すすぎやすいカリ石鹸であることです。
肌になじむ脂肪酸で洗い、カリ石鹸としてすっきりすすぐ。
この組み合わせが、アレイのしっとりとやわらかな洗い上がりを支えています。
【コラム⑤】カリ石鹸とナトリウム石鹸のちがい
石鹸は、油脂に含まれる脂肪酸とアルカリが反応してできるものです。
このアルカリに水酸化ナトリウムを使うと、硬い固形石鹸になります。これが「ナトリウム石鹸」です。
水酸化カリウムを使うと、やわらかいペースト状や液体状の石鹸になります。これが「カリ石鹸」です。
違いを生むのは、脂肪酸に結びつく成分です。
ナトリウム石鹸ではナトリウムイオン、カリ石鹸ではカリウムイオンが脂肪酸と結びつきます。
カリウムイオンはナトリウムイオンより大きいため、脂肪酸同士が密に並びにくくなります。
その結果、カリ石鹸は硬く固まりにくく、水に溶けやすい性質を持ちます。
この水に溶けやすい性質が、カリ石鹸の使い心地につながります。肌の上でなじみやすく、洗い流すときにもすすぎやすい。洗浄成分の残留感が出にくく、洗顔料としても使いやすい石鹸です。
固形石鹸として形を保ちやすいナトリウム石鹸。
水に溶けやすく、やわらかな使用感を持つカリ石鹸。
同じ石鹸でも、結びつくアルカリが違うだけで、形状も、溶け方も、洗い上がりの印象も変わります。
この違いが、カリ石鹸とナトリウム石鹸の本質的な違いです。
熱を加えず、時間をかけて仕上げるコールドプロセス製法
アレイは、外から熱を加えない「コールドプロセス製法」でつくられています。
石鹸は、油脂とアルカリが反応することで生まれます。
この反応を「鹸化」といいますが、鹸化反応はそれ自体が熱を生みます。
コールドプロセス製法は、外から高い熱を加えて一気に仕上げるのではなく、鹸化反応が自然に生み出す熱を活かしながら、時間をかけてゆっくり石鹸を熟成させる製法です。
熱を加えて短時間で仕上げる製法は、効率がよいです。
しかし、熱に弱い成分をできるだけ損なわず、原料油の持つ個性を活かすという点では、コールドプロセス製法に大きな意味があります。
アレイの原料であるマカダミアナッツオイルには、オレイン酸やパルミトレイン酸など、肌になじみやすい脂肪酸が含まれています。
コールドプロセス製法は、こうした原料油の特徴をできるだけ活かしながら、石鹸へと仕上げる製法です。
また、鹸化の過程では、天然の保湿成分であるグリセリンが生まれます。
コールドプロセス製法では、このグリセリンを石鹸の中に残しやすく、洗い上がりのしっとり感にもつながります。
さらに、アレイにはもうひとつ特別な点があります。
それは、コールドプロセス製法でありながら、「カリ石鹸」としてつくられていることです。
一般的に、コールドプロセス製法でつくられる石鹸は、固形のナトリウム石鹸が中心です。
カリ石鹸はやわらかく、水に溶けやすい性質を持つため、熱を加えて仕上げる方法が多く用いられます。
つまり、カリ石鹸を熱に頼らず、時間をかけて安定した品質に仕上げることは、決して簡単ではありません。
マカダミアナッツオイルは、オレイン酸やパルミトレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を多く含む油です。
そのため、石鹸としてはやわらかく仕上がりやすい性質があります。
やわらかくなりやすいマカダミアナッツオイル。
固まりにくく、水に溶けやすいカリ石鹸。
そして、外から熱を加えず、時間をかけて仕上げるコールドプロセス製法。
この三つを組み合わせるには、高い製造技術と丁寧な管理が必要です。
アレイは、マカダミアナッツオイル、カリ石鹸、コールドプロセス製法という三つの要素を組み合わせた洗顔石鹸です。そのすべてが、肌になじみやすく、すすぎやすく、しっとりと穏やかな洗い上がりを目指すための選択です。
【コラム⑥】コールドプロセス(冷製法)とは
石鹸は、油脂とアルカリの「鹸化」という反応でできます。この反応は、それ自体が熱を生みます。コールドプロセスは、外から熱を加えず、この反応が自分で生む熱だけを使って、数週間かけてゆっくり石鹸を熟成させる製法です。
熱を加えて一気に仕上げる「ホットプロセス」に比べ、時間はかかります(固形石鹸でおよそ4〜6週間)。その分、熱に弱いデリケートな成分が損なわれず、鹸化で生まれる天然のグリセリン(保湿成分)も石鹸の中に残ります。
コールドプロセスは固形(ナトリウム)石鹸の製法として定着しており、固まらないカリ石鹸を熱を使わずに安定してつくるのは、本来難しい組み合わせです。
泡立てず、練ってなじませる洗顔
アレイは、一般的な洗顔フォームのように、もこもこと豊かに泡立つタイプの石鹸ではありません。
その理由は、原料油に含まれる脂肪酸の性質にあります。
豊かな泡をつくりやすいのは、ラウリン酸やミリスチン酸のような、炭素鎖が比較的短い飽和脂肪酸です。
これらの脂肪酸は、空気と水の境界に並びやすく、泡をつくる力に優れています。
一方、アレイの主な脂肪酸であるオレイン酸とパルミトレイン酸は、炭素鎖が長く、二重結合を1つ持つ一価不飽和脂肪酸です。
分子構造上、空気を抱き込んだ泡を大きく立てるよりも、水と練り合わせたときに、なめらかなペースト状になりやすい特徴があります。
そのため、アレイは「泡立てて使う」のではなく、「練って使う」洗顔石鹸です。
手のひらに少量を取り、水を少しずつ加えながら、クリーム状になるまで練り合わせます。
そのペーストを肌の上にやさしく広げ、こすらずになじませるように洗います。
このクリーム状のペーストは、肌の上でなめらかに広がり、指と肌の間にクッションのようなすべりをつくります。
泡のクッションで洗うのではなく、粘りのあるペーストで摩擦を抑えながら洗う。
これが、アレイの洗い方です。
また、アレイのペーストは、皮脂やメイク、日焼け止めなどの油性汚れにもなじみやすい質感です。油分を含む汚れに密着し、浮かせるようにして洗い流します。
泡立たないことは、欠点ではありません。
泡ではなく、なめらかなペーストで洗う。
それが、アレイのしっとりとやわらかな洗い上がりにつながっています。
【コラム⑦】なぜ泡立たないのか/泡立たないことの意味
石鹸というと、「よく泡立つものほどよい」と考えられがちです。
しかし、洗顔石鹸においては、泡立ちの強さだけが品質を決めるわけではありません。
石鹸の泡立ちには、原料油に含まれる脂肪酸の種類が大きく関わっています。
一般的に、ラウリン酸やミリスチン酸のような炭素鎖の短い飽和脂肪酸は、泡立ちや泡持ちに優れています。空気を抱き込みやすく、いわゆる「もこもこの泡」をつくりやすい脂肪酸です。
一方で、こうした脂肪酸を多く含む石鹸は、洗浄力や脱脂力が強くなりやすい傾向もあります。
汚れをしっかり落とす力がある反面、肌に必要な皮脂まで取りすぎると、洗顔後のつっぱり感や乾燥感につながることがあります。
これに対して、オレイン酸やパルミトレイン酸のような一価不飽和脂肪酸を主体とした石鹸は、泡立ちは控えめです。
炭素鎖が長く、二重結合を持つ脂肪酸は、短鎖の飽和脂肪酸ほど空気を抱き込む力が強くありません。そのため、軽く大きな泡をたくさん立てるタイプの石鹸にはなりにくいのです。
まとめ ― アレイという石鹸
アレイは、三つの特徴を重ねた洗顔石鹸です。
●一つ目は、原料油にマカダミアナッツオイルを使っていること。
マカダミアナッツオイルには、オレイン酸とパルミトレイン酸という一価不飽和脂肪酸が含まれています。どちらも肌の脂質と関わりの深い脂肪酸であり、肌になじみやすく、穏やかな洗い上がりを支える重要な成分です。
●二つ目は、水酸化カリウムでつくる「カリ石鹸」であること。
カリ石鹸は水になじみやすく、すすぎやすい性質を持っています。肌の上でやわらかく広がり、洗い流すときにも残留感が出にくいため、洗顔料として使いやすい石鹸です。
●三つ目は、外から熱を加えない「コールドプロセス製法」でつくられていること。
時間をかけてゆっくり仕上げることで、マカダミアナッツオイルの特徴を活かしながら、鹸化の過程で生まれる天然のグリセリンも石鹸の中に残しやすくなります。
マカダミアナッツオイル。
カリ石鹸。
コールドプロセス製法。
この三つは、いずれも効率や強い洗浄力を優先するのではなく、肌へのなじみやすさ、すすぎやすさ、洗い上がりの穏やかさを大切にした選択です。
しかも、この三つを組み合わせることは、石鹸づくりとして決して簡単ではありません。
やわらかく仕上がりやすいマカダミアナッツオイルを使い、水に溶けやすいカリ石鹸として、さらに熱を加えずに仕上げる。安定した品質に整えるには、丁寧な製造と管理が求められます。
アレイは、マカダミアナッツオイル、カリ石鹸、コールドプロセス製法という三つの特徴を重ねた、めずらしい設計の洗顔石鹸です。
洗う力だけでなく、洗ったあとの肌のやわらかさまで考えた石鹸。
それが、アレイです。
【巻末コラム】マカダミアという植物
マカダミアは、オーストラリア原産の植物です。
その起源は非常に古く、約六千万年前のオーストラリア東海岸の熱帯雨林にさかのぼるといわれています。
人類の文明が生まれるより、はるか以前から存在してきた植物。
その長い時間を生き抜いてきたマカダミアは、オーストラリアの自然が育んだ、特別な植物のひとつです。
現在では、マカダミアナッツとして世界中で知られています。
オーストラリア原産の植物の中で、国際的な食用作物として広く栽培され、世界に広がった代表的な存在です。
その価値を最初に知っていたのは、オーストラリア先住の人々でした。
彼らはマカダミアの実を大切な食料として利用し、地域によっては交易品としても扱ってきました。硬い殻を割り、中の実を取り出すには技術が必要で、マカダミアは簡単に手に入る日常食というよりも、貴重な森の恵みとして扱われていたと考えられています。
マカダミアの魅力は、食べる実としての価値だけではありません。
その実から得られる油は、なめらかで肌になじみやすく、現在ではスキンケアの分野でも高く評価されています。
古い熱帯雨林に起源を持ち、先住の人々に大切にされ、そして現代では世界中で親しまれているマカダミア。
その植物から得られる油を肌に使うことには、単なる美容オイル以上の背景があります。
マカダミアナッツオイルは、長い自然の歴史と、人が植物の恵みを活かしてきた歴史が重なった油です。
◆ 洗顔石鹸 alley アレイにいただいたご感想です。
朝用クレンジング!
あやこ さん(東京都/女性)
初めて使用した時は違和感しかありませんでした。
泡も立たず、素顔にオイルジェルか?と。
それが使用方法を再確認して、少量をしっかり水となじませてから顔に広げたところ、
朝の皮脂汚れがすっきり落ちて、次につけた化粧水の吸収が違うような気がしました。
私は乾燥敏感肌なのにまぶたの周辺に皮脂がたまりやすいので、
普通に優しい洗顔洗剤だとまぶた周辺のベタ付きが残ってしまうのですが、
このアレイはなんの刺激もないのに、クレンジングのようにさっぱり落ちる。
すごい。
香りは、ちょっとぎんなんに似てると思いました。
マカデミアナッツを絞った言われれば納得。
使用上の注意としては、チューブから出しすぎないこと。
しっかり水で溶くこと。塊のまま肌に乗せてしまうと、
洗い流すのが大変です。(一回やりました)
私のように、肌は弱いのに皮脂汚れが気になる方は、
試してみていただきたいと思います。
今まで使った洗顔料のうち、一番良い。
シトリン さん(愛知県)
今まで使った洗顔料のうち、一番良い。